考察妄想散文

ダンガンロンパ3について感想・考察文を書き散らしてみます。腐女子なので、少しでも吐き気を覚えたらバックプリーズです

逆蔵十三がダンガンロンパ3に出た意味①

 何故、ダンガンロンパ3に逆蔵十三は出たか。

 これについて、個人的に考えてみました。

 1で学園から卒業した苗木誠。学園を卒業して未来機関に所属、いわば「就職」した苗木が今いる所は、学園という「学校」ではありません。

 未来機関という「会社」。そして「社会」です。

 社会には色々な人がいます。

 もしかしたら逆蔵も、絶望のせいで、ああいう荒廃した世界になっていなかったら、似たような思考回路や性癖の人と出会ったりしたかもしれません。

 個人的な意見ですが、学生時代、一人称「私」のオカマさんがいました。彼は明るく明朗な性格で、いつも女性数人に囲まれ、テーブルで談笑していました。私も何度か話した事がありますが、とても素敵な方でした。

 そして二次のダンガンロンパの世界。

 1ではちーたん。2では花村がいました。

 苗木が出会った事があるのはちーたんです。

 ちーたんの属性は「見た目は女性的、中身は男性、だけど男性に肉欲を抱くわけじゃない」です。

 対して逆蔵の属性は「見た目は男性的(というか生半可な成人男性より筋肉質なスポーツマン)、中身も男性、しかし同性の男性に恋愛感情を寄せている」です。

 いわゆる「BLにおいて、受けの見た目が中性的でも女性的でもない」というパターンです。

 1のちーたん、2の花村を踏まえて、逆蔵はまさしく究極系です(デジモンかよ)。

 ちーたんは男らしい大和田に「憧れ」を寄せ、花村は「守備範囲バリ広」と公言するようなオープン系、しかし逆蔵は「同性への恋慕に苦しみつつも、その人を一途に愛する」純愛系。

 その上、逆蔵は学園に通う「学生」ではなく、未来機関にいる「社会人」でもあります。

 まさに「社会には色々な人がいる」です。

 逆蔵は色々と複数の属性を持つ「濃いキャラ」で、その中にはヘイト稼ぎの「相手が女の霧切でも平気で攻撃する」「苗木に憎悪を抱く」という要素もありますが、まさに「社会には色々な人がいる」なのです。

 苗木は1の「学園」から卒業して、逆蔵のような、いわゆる「好意的に接してくれない人」もいる「社会」、もう少し言えば「世界」へと踏み込んだのです。宗方の言葉を借りるなら「学級裁判が無い世界」です。

 恐らく苗木は逆蔵が憎悪を向けてきた理由を理解できないでしょう。逆蔵は「お前が江ノ島を倒したからだ」と律儀に語ってくれましたが、苗木がどこまで噛み砕いて理解できたかどうか。逆蔵の憎悪を「理解できない」と怒る視聴者の方もいらっしゃったでしょう。

 恐らく苗木は逆蔵の憎悪の理由を知りつつも理解はできなかっただろうし、ましてや逆蔵の最も重要な要素である「同性の宗方に恋慕を寄せている」も知らない。苗木がそこまで逆蔵の事を知る義務も無いですし。

 しかし苗木は、そういう「理解できない」「知らない」を抱えつつも、「理解できない」「知らない」他人とも、話し合いたいと思うのなら、歩み寄らなければならないし、時には「お前が憎かった」という辛い言葉もぶつけられる事もあります。

 学校というのは、小さく狭く区切られた「社会」です。

 しかし学校から出た社会は、「世界」は、どこまでも広い。逆蔵十三という濃いキャラがいるくらいに。

 そして、未来機関という「社会」でさえ、苗木にとっては決して優しい世界ではありません。

 会議室に到着した後、「拘束しろ」と宣言した宗方。

 あからさまな悪意を向けてくる逆蔵。

 苦無を投げ付けてきた十六夜

 冷酷な目線を投げかけてきた流流歌。

 幾人かの方が御指摘されていますが、苗木がやらかした事(ミリオンクラスの殺人鬼を匿って新世界プログラムに入れた)を考えれば、これらの反応・処置は仕方ない……と思います。

 何せ苗木は第十四支部の平であるのに対し、彼らは各支部の支部長。いわば幹部クラスです。一つの例外を許せば、そこから「そういう例外が出たんならこういう例外もいいよね?」と、綻びが出る可能性もあります。それは非常にまずい。

 秩序が乱れると、下の人員を統率できなくなる。部下から信用されなくなる。部下が動いてくれなくなってしまう。

 人を指揮し、命令する立場にある支部長にとっては、厄介な事態です。

 宗方達は「学級裁判の無い世界」で、見た目からは判別ができない(雪染が良い例ですね)絶望と、戦闘を繰り広げていたのです。

 初期に、世界に絶望を振り撒いたミリオンクラスの殺人鬼を捕まえる事ができたのに、「学級裁判というルールのある世界」から帰還した、いわば「絶望との戦闘まではやっていない」苗木達が、この殺人鬼を匿い、庇おうとする……。

 宗方達から見れば、苗木達の方こそ、信頼できないのでしょう。

 苗木は、こういう「大人」達とも、戦わなければならないのです。本当にスーダン2のキャラ達を、元に戻してやりたいという希望を抱くのなら。

 それこそ逆蔵のように、最初から悪意・敵意・害意満々の相手とも、時には話し合わなければならない。宗方とは途中で和解できましたが、ついぞ逆蔵とは「仲間」になる事はできませんでした。1で十神やジェノサイダー翔とも仲間になり得た苗木にとって、ある意味、「初めての相手」ではないでしょうか(変な意味ではなく)。

 逆蔵十三というキャラは、そのために作り出されたキャラのように思えます。

 苗木は、逆蔵のような相手とも、話し合いをしようと行動に出られるかどうか。

 結果は「可」でした。

 未来編11話で、逆蔵はついに苗木とは行動を共にしませんでしたが、苗木は「話し合い」をする事はできました。

 それを言えば、まさに逆蔵は苗木の踏み台や成長フラグになった、とも言えますが……まあ主人公は苗木ですから。むしろ主人公特権とも言うべきか。